ソフトウェアの高度化、大規模化とこれに伴う開発コストの増大に伴い、ソフトウェア開発において、生産性の向上と品質の確保が重要な課題となっています。 そのための有用なアプローチとして、ソフトウェア開発の分野において、他の科学、工学分野と同様に、計測、定量化と評価、そしてフィードバックによる改善という実証的手法(エンピリカルアプローチ)が注目されています。
エンピリカルアプローチでは、以下の5つのステップが実施されます。
- Step1:ソフトウェア開発における現状の問題点把握
- 文献調査や現場のソフトウエア開発技術者とのインタビュー等を通じて問題点を把握・理解します。
- Step2:問題点を解消する手法の提案
- Step1で得られた問題に対する改善手法を提案します。既存手法の応用・改良をする場合もあります。必要に応じて手法を支援するツールの開発も行います。
- Step3:実験 / ケーススタディを通じた手法の評価
- 大学環境での実験や企業のデータを用いたケーススタディを通じて、Step2で得られた手法・ツールの評価を行います。手法が有効に働く条件、効果が発揮できない状況はあるか等を明確にします。
- Step4:実際の開発プロジェクトへの適用
- 企業等で実施される実際の開発プロジェクトへ適用し、手法の現場での有用性を確認します。Step3で得られた結果が成り立つかどうか、他の問題点や改善すべき点を分析します。
- Step5:手法の改善・改良
- Step4の結果に基づいて、手法・ツールの改善・改良を行います。
以降、Step3~Step5を繰り返します。