研究室で身につく能力
教員側から
教員は,学生がどのような能力を身に付けられるように指導しているのでしょうか?
教授
学年や特性によっても違ってきますので,どのような能力を身につけさせるかというのは一概には言えないように思います. それぞれの個性に応じて,よい部分は伸ばして,足りない部分は補えるように指導できればよいと思っています. 研究室で普通に活動していたら,ある程度は知らないうちに身につくのではないかなとも思います.
准教授
卒業論文や修士論文で取り組んだ内容そのものが 就職した後に役に立つということは残念ながらあまりありません. ですが,卒論や修論に取り組むことによって文章構成能力や問題解決能力等々将来必要な力を培うことができます. 単に研究成果を出すだけではなく,それに至る過程を大切にして指導するように心がけています.
過去に在籍された准教授
学生には以下の力がつくことを願っています。
論文を読むことによって
- お手本となる論理的な(説得力のある)文章を読み取る力、さらにはそのような文章を記述する力
- 数学的にコンサイスにまとまった文章から本質を読み取る能力
- 何が問題でそれをどのように解決するのが望ましいかをある程度見通せる問題発見能力
- ある程度多量な技術英語文書を読みこなせる英語基礎体力
研究過程を通じて
- 短い時間である程度の結果をだせる問題解決能力
- ある程度自立した計画管理能力
- 必要に応じて他の学生と協調作業ができる能力
- 情報系として恥ずかしくない程度のIT技術力
国内外発表の経験を通じて
- いわゆるプレゼンテーションの能力
- 他の人の発表を聞きある程度理解できる能力
- 他の人と自分の研究内容をディスカッションできる能力
- さらに望むなら英語で論文を記述し発表できる能力
これらの能力は将来、多様な職業に就職する可能性を考慮に入れても 直接・間接的に役立つと思います。
過去に在籍された特任准教授
研究室での活動で得られることはたくさんあります.ただ,人によって得られることの内容や度合いは大きく異なりますので,ここでは得られることというよりは実際に体験できることや教員として体験できるよう考慮していることを少しまとめてみました.
- グループでタスクを進められるようになること
研究室でも就職してからでも1人でずっとタスクを進めるなんてことはほぼありえません.グループの中でいかに自分が貢献できるか,他のメンバとのコミュニケーションをどう取れば良いかを学習し,経験して欲しいと思っています.特に自分の得た経験を文書化し,公開・共有することや,他人の公開した情報にコメントをつけたり,他人と議論を行うことに慣れてください. 勿論この経験は,研究からだけでなく,ゼミ旅行や研究室運営や宴会計画等いろいろなことでもできますので,是非積極的にグループに関わってください. - スケジュールを決めて計画を立て,予定にあわせてタスクを進められるようになること
当研究室では,卒業/修了時の学内発表以外に論文投稿や対外発表の機会が多くあります.それらのスケジュールをベースに研究等のタスクの進捗を管理し,少しずつ着実に進めていく方法を経験してください.ちなみに,ソフトウェア開発における進捗管理をどのように行うべきかという研究テーマもあります. - 課題を発見し,その課題に関する既存手法を分析し,課題にあった新しい提案を自分で創造できるようになること
研究活動においてこれが一番難しく,やりがいのあることだと思っています. 研究室に配属されたら,自分で何かを提案できるようになってください.教員はできるかぎりのサポートや,関連する研究やドキュメントの紹介,研究の進め方のアドバイスをします.それらをどのように組み立てて新しい提案に繋げるかを自分で考えてみてください.与えられたタスクをマニュアルに従って淡々とこなすことは誰にでもできます.指示されたことをいかに超えられるか,教員の想定をどうやったら外せるかに喜びを感じられるようになってくれることを期待しています. - 複数のタスクを同時に進められるようになること
就職すると分かると思いますが,一度に一つのことだけをしていれば良い仕事なんてほとんどありません.研究室でも,原稿を書いて,プログラムを書いて,プレゼンを作って,新しいアイデアを考えて,他の人とコミュニケーションを取って,勉強会に参加して,就職活動をして,と互いに関連がある(あるいは無い)タスクを複数同時に走らせる必要があります(他に遊んだりバイトもしますよね). 無理にマルチにする必要はありませんが,タスクの切り替えに少しずつでも慣れていってください.
以上いろいろと書きましたが,全てやり方についての助言は教員が全力で行います.学生の皆さんが得られた経験を踏まえて,少しでも自分の頭で,自分の手で,自分のタスクをこなせる能力を身につけて世間に旅立って行かれることを願っています.
学生側から
「研究室で身についた能力とは?」という質問に対し,学生から返って来た回答を掲載してゆきます.
- 研究のために必要な知識(人それぞれ)
- 論文の書き方,発表の仕方
- メールのやり取りを行うようになるので,書き方なんかも自然と身についた気がする
- コミュニケーション能力
- 自立心
- プレゼン能力
- スケジュール管理能力
- 複数の仕事を片付ける力
- 読解力
- 体力
- 忍耐力
- 精神力
- 防御力
- 危険予知能力
- 論理的思考力みたいなもの
- 英語力みたいなもの
- 折れない心